間違えやす消費税(非課税・不課税・免税の違い)
消費税の実務では、非課税取引、不課税取引、免税取引についての誤りが多く見受けられます。これはいずれも消費税のかからない取引ですが、その判断を間違えて処理してしまうと、消費税額を正しく計算することができません。
消費税は、会社や個人事業者が、日本国内で、商品・製品を売買したり、サービスを提供したり、経費を支払ったり、事業用設備を売買したり、権利やノウハウの貸し借りや輸入などをしたときにかかる税金です。これら消費税がかかる取引のことを課税取引といいます。
反対に、消費税がかからない取引には、非課税取引、不課税取引、免税取引の3つがあります(下図参照)。これらの取引は、消費税がかからないという点では同じですが、それぞれを正しく処理しないと、消費税額に影響します。
非課税取引-法令で課税しないことにされている取引
本来は課税取引になるものですが、課税対象としてなじまないものや社会政策的配慮からあえて法令で非課税としている取引です。
不課税取引 -消費税とは関係のない取引
原則として、国内で行われる取引と輸入取引は課税取引として消費税がかかりますが、これらに該当しない国外で行われる取引、寄付や贈与など対価を得ない取引などを不課税取引といいます。これは、消費税という枠組みの外で行われる取引であるため消費税がかからないのです。そのため、不課税取引は、消費税額の計算にまったく影響しない取引になります。
【主な不課税取引の例】
- 給与・賞与の支払い、出向社員の給与負担金
- 冠婚葬祭事の祝い金、見舞金、ご祝儀、香典
- 資産の無償での貸付
- 損害賠償金、交通事故の示談金
- 贈与(自家消費などは除く)や寄付金
- 税金の支払い
- 株式配当
- 受取保険金 など
免税取引 -法令で税率を0%にしている取引
免税取引は、本来は課税取引であるけれども、税率を0%にし、消費税を免除している取引です。輸出売上や外国の事業者等に対するサービスなど輸出類似取引がこれにあたります。
こんなときはどう処理する?
それぞれの取引について、それが課税か非課税、不課税かなどを判断するのはなかなか難しいのが実情です。そのため、自社でよく行う取引については、あらかじめ判定の一覧表などを作成しておくとよいでしょう。以下に、間違いやすい例を挙げてみました。
1)出張の日当、交通費、宿泊費などは国内か海外で異なる。原則として海外出張の費用は不課税です。
国内出張
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課税取引 ※入湯税は不課税 |
海外出張
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不課税取引 ただし、次のようなものは課税 ・国内での出発前、帰国後の宿泊費、交通費を別途支給 ・成田、関西、中部国際空港で出国者が支払う旅客サービス施設使用料など ・出張先への土産物を国内で購入したとき など |
2)冠婚葬祭の費用は金銭支出か物品購入かで異なる。
冠婚葬祭についての費用は、金銭の支出か物品を購入して贈るかによって異なります。
- 祝い金、見舞金、香典など・・・不課税取引
- 花束、花輪、果物等の贈答・・・課税取引
3)接待ゴルフの費用には 不課税のものも含まれる
接待ゴルフのプレー代金は、おおむね課税取引になります。ただし、ゴルフ場利用税は不課税です。
- ゴルフのプレー代金・・・・・・課税
- ゴルフ場利用税・・・・・・・・不課税
- キャディー等へのチップ・・・・不課税
- ゴルフコンペの賞品購入・・・・課税
4)ガソリンと軽油では消費税の処理が異なる
ガソリンスタンドで給油する場合、ガソリンと軽油では消費税の処理が異なります。
ガソリン代は課税仕入れになりますが、軽油は、軽油購入代金のうち、軽油取引課税部分については不課税取引になります。
●購入時の明細書に注意
明細書に「軽油代」と「軽油引取税」がきちんと区分表示されていれば、軽油代のみが課税仕入れになります。区分されていなければ、全額が課税仕入れになります。
非課税取引と免税取引の違いは、仕入れ税額控除の有無
非課税、不課税、免税の3つの取引は、消費税がかからないという点では同じなのですが、区分を間違えると、次のように仕入れ税額控除など、消費税の計算に影響するからです。だから、経理担当者には区分に注意してほしいのです。
- 非課税取引・・・非課税取引にかかった消費税を仕入れ税額控除することができない。また、課税事業者の判定の売上高の計算に含めることができない。
- 免税取引・・・・・免税取引(輸出等の売上)のための仕入れにかかった消費税を仕入税額控除することができる。また、免税点制度や簡易課税制度の適用上限の判定には、課税売上高の計算に含めます。
- 不課税取引・・・消費税とは関係のない取引であるため、消費税額の計算に影響しない。
免税取引は、本来は課税取引であるけれども、税率を0%にし、消費税を免除している取引です。輸出売上や外国の事業者等に対するサービスなど輸出類似取引がこれにあたります。
2018年4月27日