会社設立のメリット・デメリット

税務上のメリット

会社設立は、 まず税務上の利点が最大です。個人事業が発展して大きくなると、税金は無視できなくなってきます。

下記の表を見て下さい。これが自動的に経費にできる金額です。例えば課税標準が600万円の場合は、個人事業の青色申告控除なら65万円、給与所得控除なら1740円。その差額は実に109万円!単に会社にしただけで、これだけの経費が勝手に認められるのです。

次に消費税です。

以前は、株式会社は1000万円で設立をする必要があったので、1期目から消費税の課税事業者になりましたが、現在は資本金が自由なので資本金を1000万円未満で設立したら、株式会社でも最初の2期が消費税は非課税になります。(平成23年度改正により、その事業年度の全事業年度の開始以後6ヶ月間の課税売上が1000万円超の場合は課税になります。)これは相当大きなメリットですね。

 

 給与所得控除の速算表

 給与の収入金額

 給与所得控除

 162万5千円以下

 65万円

 162万5千円超180万円以下

 (給与の収入金額)×40%

 180万円超360万円以下

 (給与の収入金額)×30%+18万円

 360万円超660万円以下

 (給与の収入金額)×20%+54万円

 660万円超1000万円以下

 (給与の収入金額)×10%+129万円

 1000万円超1500万円以下

 (給与の収入金額)×5%+170万円

 1500万円超(平成25年分以後)

 245万円が上限

 

実務上のメリット

これは無限に考えられます。税務面では、いくらか税金が安くなるだけですが、営業面では売上として影響がありますので、事業として、ステージがグッと変わってくる可能性があります。

たとえば、

・ネットモールに出店するには、法人化か必要 だとか

・雑誌やネットで大きく広告するのに、個人事業では顧客に信用が得にくい とか

・大企業と取引を始めた時、法人でないと取引の対象にしない  

といったケースです。

信用上の利点

ほんとうは個人事業なら個人事業主が信用の全力をかけて無限保証するので、個人破産でもしない限り会社より信用できるといえなくもありません。

でも、現実の社会では、個人事業は「会社にもできない規模の小事業」と思われがちです。実際に株式会社でそこそこの資金なら、グッと信用力がアップします。

たとえば立派な事務所を借りるのは毎月の維持費がかかります。信用力をお金で買う方法として、維持費が少なくて確実な方法は、他にそんなにあるでしょうか?

以上、会社にするメリットとして列挙しましたが、そのほかにはどんなものがあるでしょうか?

その他のメリットとデメリット

メリット

 第1に、所得を分散できます。家族に報酬を分けたりすることが容易です。

 第2に、青色欠損金を7年間控除(平成20年4月1日以後に終了した事業年度において生じた欠損金は9年間)適用できます。個人は3年間です。青色欠損金は赤字が出てもその赤字を翌期に繰り越せるということで、スタートアップの会社にはとても有利な制度です。

 第3に、減価償却費の計上が任意でできます。減価償却費は、30万円以上の資産を買った場合、多年度に分けて経費として計上する制度で、法人は計上しないこともできます。つまり黒字を出したくても赤字が出そうなら、計上しない手があります。個人は強制ですから、選択はできません。

 黒字にしたら税金がかかるのに、わざわざ黒字決算にするということは、資金をどこから借入れる場合とかが多いようですね。

 第4に、役員でも退職金が支給できます。一般的に退職金の税率は優遇されています。例えば会社を作って10年したら、退職金からは400万円を控除できて、税金のかかる計算の基となる金額も半分になります。日本の税制は、特に退職金を優遇しているのです。

 第5に、個人の場合は生命保険を支払した場合には、最高10万円(平成24年からは介護・一般・個人年金の各4万円、合計12万円)までしか控除できませんが,会社の場合は全額損金になる可能性もあります。また、出張に伴う日当支給は旅費規定等を整備することにより非課税となり節税になります。

デメリット

 第1に、設立に費用、手間がかかります。

 第2に、会社の維持に、地方税として最低年間8万円かかいります。これは個人事業ではかかりません。

 第3に、維持、運営に個人よりも手間、手続きが増えます。たとえば、記帳は複式簿記できっちりとする必要があります。

 第4に、交際費の経費算入に限度枠があります。法人の場合は資本金1奥円以下なら年600万円までで、その9割が交際費に認められます。個人なら限度枠はありませんが、事業の為の交際費か個人的な飲み食いかをきっちり区別する必要があります。交際費の多い個人事業の方は600万円の枠なんか簡単に突破するということで、わざと法人化しない人もいますね。

このように法人なり(会社設立)の大きなメリット、デメリットをあげてみました。

売上が大きくなってくれば。会社の形態に選択したほうがメリットが大きいですね。会社にしたことをきっかけに、事業を大きく飛躍させてみてはいかがでしょうか。