社長貸付金の認定利息

 同族会社などでは、社長への貸付金があるケースが見らます。

 金銭消費貸借契約を締結し、適切な利息を取っている貸付もありますが、多くは、会社の預金から引き出した仮払金や立て替え金が返済されず累積したものや、赤字が予想されるため経費の一部を社長が肩代わりし、経理上振り替えたものなどです。

 これらの社長貸付金についても利息を計上しなければなりません。

 税法上、会社は利益追求を目的としているため「利益にならないことはするはずがない」と考えられていますので、一定の利率より低い金利や無利息の場合には、一定の利率との差額が給与とみなされ所得税の対象となってしまいます。

 そのため、給与とみなされないように、決算時には社長貸付金に対して認定利息を計上します。

この認定利息の利率については、次の2通りがあります。

(1)銀行等からの借入利率

 会社が他から借り入れて貸付した場合・・・その借入金の利率

(2)(1)以外の特定基準割合については、改正により平成26年よりかなり低い割合になってい

ます。平成26年は1.9%、平成27~28年は1.8%、平成29年は1.7%となりました。

 尚、次の①から③に該当する場合を除き、1.7%(29年の場合)の利率と貸し付けている利率との差額が、給与として課税されることになります。

①災害や病気などで臨時に多額の生活資金が必要になった役員または使用人に、合理的と認められる金額や返済期間で金銭を貸し付ける場合。

②会社における平均調達金利など合理的と認められる貸付利率を定め、この利率によって役員または使用人に対して金銭を貸し付ける場合。

③1.7%の利率と貸付している利率との差額分の利息の金額が1年間で5,000円以下である場合。

 社長貸付金があると、銀行の印象が悪くなりますのでご注意ください。

○社長借入金

 社長借入金は利息を付す必要はありませんが、社長からみれば返してもらうべき債権(貸付金)となり、相続税の対象になります。

 また、社長借入金が多くなると、債務超過の状態になってしまう可能性もあるので注意が必要です。