相続税を納める資金準備をする
相続財産の大半が土地等の不動産ですと納税資金の調達に苦労する場合が多いです。このため、予め納税額を予想したうえで、相続発生時にどうやって資金を作るか準備をしておく必要があります。
① 生命保険を活用する
生命保険には様々なメリットがあり、相続対策として有益です。
生命保険金には相続人(将来被相続人と同居していた相続人に限定される可能性がある)一人当たり500万円まで非課税になるという特例があるため、500万円に法定相続人をかけた金額については相続税がかかりません。したがって、生命保険分だけ非課税になるため、実質的には相続財産が減るため、この非課税枠までは保険に加入しておくと有利です。
相続対策として、親から子や孫に、毎年、保険料相当額の資金を贈与し、契約者と受取人は子や孫、被保険者を親として生命保険に加入する方法があります。
毎年1人あたり110万円の保険料に相当する資金を子や孫や嫁の5人に贈与しますと、年間550万円、10年間で5,500万円の財産が移転します。そして、親の相続の時に子供や孫に支払われる保険金は相続税の対象ではなくなり、一時所得として税率の低い所得税の課税となるため、二重の節税効果があります。
また、保険金は現金で支払われるため納税資金の原資なります。相続財産が自宅のみといったケースでは、兄弟間で平等に財産分けをしようにも分けられません。こんな場合、長男に自宅を相続させるかわりに、他家へ嫁いだ姉や妹を受取人とする生命保険に加入しておくのも良策かと思います。また、争続になると、遺産分割が大幅に遅れると預金口座が凍結されたままとなり、相続税の納付が困難となりますが、このようなケースでも受取人を指定した生命保険に加入しておくと、保険金は速やかに相続人の口座に振り込まれ納税資金を確保することができます。
当事務所は日本生命、大同生命、エヌエヌ生命の代理店になっていますので、ご相談いただければお客様の相続対策に有利な生命保険をご紹介いたします。
② 不動産売却の準備
相続に際して、納税資金が足りないため、不動産を売却して資金を作るケースは多いです。この場合、いざという時にすぐ売れるように準備しておくことが必要です。不動産の場合、売却の前提として測量や境界画定が必要なときは大幅に時間がかかります。
特に、相続税の申告の場合非常に厳しいタイムスケジュール(死亡後10ヶ月)があるため、スムーズな売却は必須です。また、納税資金確保のために、売り急いでいることが買い手に分かると、売却価格を値下げされるケースがあるため、事前に準備をしておくことが必要です
なお、スムーズな売却のために、事前に売却してもいい不動産とそのまま残す不動産を選別することが大切です。また、財産の組み換え(例えば利便の悪い不動産を売って、代わりに駅前のビルを購入しておくなど)も検討すべきといえます。
収益を生まない土地を保有していても、税金がかかるだけで結果的に資金が流出していくだけなので、現実的な対応を図る必要があります。
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2018年4月27日